日本桃太郎の会の会長である松川忠嗣さんに、桃太郎で出来ること、桃太郎の会が目指す事を伺った。 (2017年8月)



神木 日本桃太郎の会の3代目会長ということですが、

松川 50歳のときに初代の会長、小久保桃江先生と出会ったんだよね。

神木 その時、桃江先生に出会って、考え方とかを学んだと言うことですか?

松川 全然まだまだ。出会った時はビジネスの関係で出会ってね。将来のための勉強会に参加したんだよ。そこに桃江先生が講師で来てて、その時に桃太郎の話を聞いたんだよ。

神木 その時はすでに桃太郎には興味があったんですか?

松川 いやいや、全然。でも話は知ってたよ、もちろん。桃太郎って言うとさ、元気が出るヒーローみたいなさ、誰でも知っていて誰でも親しみやすいってね。
でも聴いてるとさ、福祉の原点だなぁと思ってさ、桃江先生の言う幸福論っていうのにひっかかっちゃったんだよね。

神木 じゃあそれまではそんなに興味がなかった?

松川 あー全然。

神木 会長が桃江先生の話で1番引っかかったのがその幸福論?

松川 そうそう5つの宝の話ね。幸福論が最初面白かったんじゃなくて、それのイベントとかね、その関係の英語劇をやるとかね、桃について調べるとかね、そういうところが楽しかったんだよね。
その中で5つの幸せの幸福論が出てきたんだよね。何か特別目新しいものがあったわけじゃないんだけどさ、何か入って来ちゃったんだよね。

神木 その頃すでに桃太郎の会はあったんですか?

松川 桃江先生が作ってた会はあったかなぁ。でも日本桃太郎の会じゃなかったなぁ。青年団とかさ、そういうものだったかなぁ。。

神木 そのイベントは月2回ぐらいとかでやってたんですか?

松川 正月、節分、ひな祭り、子供の節句辺りまで飲み会をさ、みんなで集まってやってたかな。 桃太郎っていう居酒屋があってな。そこでみんなで集まってな。
そこで話していた幸せ論とかさ、地域論とかさ、そういう桃江先生の考えを引き継ごうっていうのが、今日本桃太郎の会かな。

神木 会長が桃江先生さんのことでよく覚えてることってありますか?

松川 幸せ話が桃太郎の中に生かされているっていうところかな。
いろんな幸せな昔話のことを勉強していたら、桃太郎1人ではできないっていうことがわかってきたし、子供の話なのに大人のビジネス論や人生論に引っかかって出てくるっていうのがね。

神木 ビジネスと言うとアサヒビールの樋口廣太郎さんも「桃太郎軍団」なんて言ってましたね。

松川 そうそう、今時はね、金太郎飴のように切っても切っても同じようなものが出てくるみたいに全員同じっていうのはね、バブルの後は通用しないんだよってね。
犬のように走りまわる部下や、猿のようにきゃきゃきゃきゃ上に噛み付いてくる部下や、どっかに飛んでいってしまうような雉のような部下をね、まとめるのがリーダーだろうというような話をね。
まぁその話が直接福祉に結びつくとか、命の尊厳に結びつくとか、そこまでは私も考えていなかったけど、なんか引っ掛かっちゃってね。桃太郎っていうのがね。

神木 それで桃太郎にハマっちゃったんですか?

松川 だから私も桃太郎になりたくてね、桃色の半纏なんか着たりして、女の子みたいって言われちゃうけどね。
桃太郎は幸せなお話なのよ~、桃源郷のお話なのよ~、セラピーでは桃色の服を着て天国に行けるのよ〜、なんてね、そんな話をね。
まぁ、それは置いといてね。

神木 日本桃太郎の会としてはどういう活動をして行きたいんですか?

松川 それはね、本当にね、神木先生がやられてる活動の中で伝統文化っていう言葉を使ってくれてるじゃない。
昔話の中でも五大御伽噺じゃなくてね、本当に1番代表の桃太郎をね、子供会だったり小学校だったりね、そういう子供のところにね、生かして行きたいな~ってね、思うんですよ。
いろんなイベントをやるのもよし、神木先生達と一緒にやってやるのもよし、桃太郎のお話を継承して行きたいよね。
なんで江戸時代の桃太郎の読み物が、今でも継承されているのか、現代の桃太郎をみんなが受け入れてくれていることが興味があるよね。

神木 なるほど。

松川 家庭崩壊やら、最近いろいろおかしくなっていることを取り持てる物語なんだよね、桃太郎ってのは。
特に今文科省が、道徳に危機感を抱いているって、現場の先生たちがすごく憂いているんですよ。
これをどうにかするという意味でね昔話、特に桃太郎が、その筋道を作れるきっかけがあるんではないかと思うんだよね。
本当はね、神木先生みたいにひとりでできればいいんだけどさ、今はまだできないから、できなかったらできないやり方で、1人ではないやり方でね、できればいいよね。 それをやっていく上で全国の連合会にお手伝いいただくこともあるし、全国の町おこしのお手伝いもする。
なおかつ、東京に拠点を置く日本桃太郎の会の1つの筋としては、桃太郎というお話は、道徳というかね、生活の中で生かせる話だという事を、後世に引き継いでいきたいよね。

神木 それが日本桃太郎の会がやっていきたいことですか?

松川 そうね。「桃太郎を現代に生かそう」というのがね、桃太郎サミット(※1)のテーマだったの、これ東京でやったんだけどね、第一回。
この次は岡山でやったんだけど、「桃太郎からのメッセージ」と言うテーマでね。
その次は奈良でやったんだよね。「知られざる桃太郎たちへ」って言うテーマでね。
まぁこの奈良は桃太郎のお父さんのゆかりの所だよね。知らない人が多いよね。
その次は犬山でやったんだけどね、「桃太郎に学ぶ教育の原点」て言うテーマでね。 すごく問題を提起してくれてね。
その次はここ、今までで1回しかやらなかったんだけどね。 和歌山の桃山町っていう所。ここ桃の産地のところなんだけどね、桃の文化を桃太郎に引っ掛けて講演してくれたりね。 今では紀の川市ね。「人材交流の中で得るもの」っていうテーマでね、桃太郎と掛けて話してくれたんだけどね。

神木 歴史ありますもんね、桃太郎サミット。次は東京ですけども。

松川 今は忙しいっていうキーワードがあるんだけどさ。
人間交流のコミニケーションを広げて、人間関係を良くすることが桃太郎の昔話を使ってできるのではないかってね。
忙しくて自殺をするわけではなくて、それをやめさせるのに、桃太郎を使って幸福論を発信することができるんじゃないかと。

神木 なるほど。会長にとっての桃太郎はなんですか?

松川 自分も含め病気ね、四苦八苦じゃないけど、そういうものに少しでもね、今現在を桃太郎のように幸せな気持ちで、元気な姿を自分自身に取り入れて笑顔で元気になってもらいたいと思うよね。
そういう思いもあってね、毎朝駅前で日本一の旗を持って立って挨拶してるんだけどね~まぁ無視する人も多いんだけどさ。

神木 今度僕行きますよ。

松川 ほんと?ほんとに来てくれるの?お願いしますよ。今はね、(夏休みで)小学生が少ないからちょっと寂しいんだけどさ、でもね、あ、桃太郎さんだって言ってくれる人が多くなってきてね。 それは置いておいてね、要は自分自身も含めて元気になりたいってことだよね。心の鬼退治も含めてね、これをどう退治するかだよね。

神木 元気と健康が一番ですからね。

松川 小久保桃江先生は、日清戦争、日露戦争、太平洋戦争まで経験している人だからね、その間にいろいろ戦争やって殺し合ってきた、そういうのを経験したから福祉というところにたどり着いたんだろうねきっと。幸せになろうよっていうことを広めようっていうのが桃江先生の思いだったんだよね。それを私たちが今受け継いでるって言うことだよね。
今は時代が変わってきたから軍国主義ではない桃太郎、現代の桃太郎をどのように広げていくかっていうことがね。
でもみんなで元気に幸せになろうっていうことだよね。まずは身内のさ、自分の近い人たちからね。そして少し広げて地域の人たちで、それが町おこしに広がっていけばいいよね。

神木 最後にあれ聞かしてくださいよ、五徳の話。5つの宝の話。。

松川 あ、いいですよ~。
まず桃太郎さんね、こちらは健康。健康である元気である。そしてお供ね、猿の知恵、犬が人徳、人柄。そして雉は勇気のある鳥だと言うことで、知、仁、勇、これを桃太郎さんに持たせると言うことね。
これも面白い話があってね、中国の古い話で孟子、孔子の話なんだけどね、天下を取るためには知仁勇がないと、天下を取れないという、良い言葉があるんだよね。
ま、これは置いておいて。
自分自身が健康であると言うことと、きびだんごの経済、富を含めてね。
健康があってお金があって知恵と勇気と人柄を持って、それが全部揃うとまず自分の幸せの原点となっているでしょう。
そして家庭の原点となっているでしょう。会社の原点になっているでしょう。世界の原点になっているでしょう。 という事をね、広めたいよね。
それのお手伝いを桃太郎的に元気にできることができればいいなと思うよね。気は優しくて力持ちの桃太郎さんになれればいいよね。
それが桃太郎さんをやらさしてもらっている気持ちかな。

神木 いい話を有り難うございました。

松川 今後ともよろしくお願いします。

※1、全国の桃太郎に関連する団体や桃太郎愛好家が集まり、講演や活動報告・研究発表を行う。2017年は東京・高尾で開催された。





日本桃太郎の会 https://www.peachboy.tokyo/

松川忠嗣(まつかわ・ただつぐ)
大田区生まれ。
初代会長・小久保桃江氏(104歳)の遺志を引き継ぎ「桃太郎昔ばなし」で世界平和を目指している。
平成21年日本桃太郎の会3代目会長に就任。
桃太郎サミットを21年間で15回開催(東京、岡山、犬山、高松、桃山町、なら、大月)
平成32年オリンピックの年には世界桃太郎サミット開催を計画中。